平素しよつちゆう)” の例文
僕がういふ科学書生で、平素しよつちゆう其方そつちの研究にばかり頭を突込んでるものだから、あるひは僕見たやうなものに話したつて解らない、と君は思ふだらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「死」といふ奴を眼前めのまへに置いて、平素しよつちゆう考へて居るんですからなあ。彼の先生の書いたものを見ても、何となく斯う人に迫るやうなところがある。あれが肺病患者の特色です。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
斯ういふ追懐おもひでの情は、とは言へ、深く丑松の心を傷けた。平素しよつちゆうもう疑惧うたがひの念を抱いて苦痛くるしみの為に刺激こづき廻されて居る自分の今に思ひ比べると、あの少年の昔の楽しかつたことは。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)