巽風シロツコ)” の例文
ゲエテの上記の感傷的な記述の直ぐ次の行には、今は巽風シロツコが出たから、是れが強くなつたらモロの邊の波は一入興深い事だらうなどと書いてあるから
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
恐しき巽風シロツコもぞ吹く。若しその熱き風胸より吹かば、中なる鳥の埃及エヂプト人の火紅鳥フヨニツクスならぬが、焦がれじにするなるべし。
それのみならず、來歴ある好きふすまをも借し參らせん。巽風シロツコ吹く頃の夕立をも、雪ふゞきをもしのぎし衾ぞとて、壁よりはづして投げ掛くるは、褐色なる大外套なり。
(メヅウザは希臘神話中の恐るべき處女神にして、之を視るものは忽ち石に化したりといふ。)煖き巽風シロツコの吹くごとに、われはペスツムの温和なる空氣をおもひ出して意中にララが姿を畫き