届出とどけい)” の例文
旧字:屆出
例のごとく消毒衣に服を着かえて。くつを下駄にはきかえて牛舎を見廻みまわった。予は獣医に府下鵞口瘡がこうそうの模様を問うた。本月二日以来新患の届出とどけいでがないから。
牛舎の日記 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それから数日の後、柾木がまる二日間食事に降りて来ないので、婆やが心配をして家主に知らせ、家主から警察に届出とどけいで、あかずの蔵の扉は、警官達の手によって破壊された。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
此条このじょう王鬼に届出とどけいでずして我儘わがまま出立しゅったつせば
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
布引氏は賊の申出もうしいでに従って、警察に届出とどけいでるのは見合せることにした。こういう場合に、賊の申出にさからって、飛んでもない結果をひき起した例を、屡々しばしば耳にしていたからだ。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)