居所きょしょ)” の例文
それ以来、二人は居所きょしょ進退しんたいに気を配っておりましたが、例の不思議な人影を見ることは、その後も一度や二度ではありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その旅人宿二軒へは、人をやったり電話をかけたりして問合せたけれど、N某君の現在の居所きょしょは全く不明であった。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
甚七が江戸へつくと共に、厚情を感謝してきた手紙で、彼の居所きょしょはすぐ知れた。そして三人は江戸へ下ったが、着いた夜、お俊は二人の弟を出し抜いて甚七の所へきた。
新訂雲母阪 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「だまれっ! 汝こそ、今日まで居所きょしょをくらまして、われわれの眼がなくば、他国へ逃げのびようといたしながら」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこは九けんの橋廊下。渡るとすぐに部屋がある。右は書院、左は居間、昔、この屋敷の主人あるじ、甲賀世阿弥よあみのいた頃は、ここを居所きょしょと定めていたものらしく、すべて木口もしっかりとした別棟である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)