小蒸気こじょうき)” の例文
はじめは小蒸気こじょうきぐらいに思えた難破船が、だんだん形が大きく見えてきて、今はどうやら千五六百トンもある大きな船に見えてきた。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
小蒸気こじょうきを出て鉄嶺丸てつれいまる舷側げんそくのぼるや否や、商船会社の大河平おおかわひらさんが、どうか総裁とごいっしょのように伺いましたがと云われる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに、お前さんのようなのを小蒸気こじょうきと云ってね。『水精の蕊キヨール・ド・シレーヌ』なんて源氏名げんじながあったものねえ
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
佐藤が真先に中へ這入って、やがて出て来たから、もう舟に乗れるのかと思ったら、おい這入れ這入れという。我々は石垣の上に立っていた。足元にはすぐ小蒸気こじょうきつないである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)