小柴こしば)” の例文
流れに渡したる掛橋は、小柴こしばの上に黒木を連ねて、おぼつかなげに藤蔓ふじづるをからみつけたり。橋を渡れば山を切り開きて、わざとならず落しかけたる小滝あり。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
越後は今まで僕を呼ぶのに、そちらの先生だの、書生さんだの、小柴こしば君だのというばかりで、ひばりさんなんて変に親しげな呼び方をした事は一度も無かったのだ。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しばらくして気が附いたがやゝ離れたあとの卓に滿谷、徳永、小柴こしば、柚木、などの画家が食後の珈琲キヤツフエを取りに来て居たので僕が挨拶に行つたらう立上つて帰る所であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「知らねえ。フランスでも何でも、とにかくこれは返すよ。毛唐けとうはつまらねえ。日本の女優の写真とかえてくれねえか。あい願わくば、そうしてもらいたい。こいつは、向うの小柴こしばのひばりさんにでもあげるんだね。」
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)