小判形こばんなり)” の例文
そうして湯屋の留桶とめおけを少し深くしたような小判形こばんなりの桶の底に、硝子ガラスを張ったものを水に伏せて、その中に顔を突込つっこむように押し込みながら、海の底をのぞき出した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
風邪かぜを引いたと見えて、このあついのにちゃんちゃんを着て、小判形こばんなりおけからざあと旦那の肩へ湯をあびせる。右の足を見ると親指の股に呉絽ごろ垢擦あかすりをはさんでいる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)