寄付よりつき)” の例文
もとより狭い家だから、三尺のくつぬぎを隔てて家じゅうはすっかり見える。寄付よりつきが二畳、次が六畳で、それにならんで三畳と台所がある。
月の夜がたり (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これが真個ほんとの押掛けで、もとより大鎧罩手こて臑当すねあての出で立ちの、射向けのそでに風を切って、長やかなる陣刀のこじりあたり散らして、寄付よりつきの席に居流れたのは、鴻門こうもんの会に樊噲はんかいが駈込んで
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
寄付よりつきの四畳半には長火鉢や箪笥や茶箪笥が列んでいて、奥の六畳が稽古場になっているらしく、そこには稽古用の本箱や三味線が置いてあった。
半七捕物帳:08 帯取りの池 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)