宍戸梅軒ししどばいけん)” の例文
彼女のいうその人というのは、山の総務所、高雲寺平等坊びょうどうぼうの寺侍——総務所の宝蔵番を勤めている宍戸梅軒ししどばいけんのことをいったものに違いない。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宍戸梅軒ししどばいけんというクサリ鎌の達人と試合をしたことがある。クサリ鎌というものは大体に於て鎌の刃渡りが一尺三寸ぐらい。柄が一尺二寸ぐらい。
青春論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しかし、分らないのは、なんのために、自分の生命を他人が——ここのあるじ宍戸梅軒ししどばいけんが、奪おうとしているのか、その理由が見つからない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この宍戸梅軒ししどばいけんの妻が、安濃あのの鍛冶小屋で、その実物を持って、宍戸八重垣流の形をして、武蔵に見せたこともある。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禰宜ねぎの荒木田家へ、武蔵は山田の旅籠はたごから問いあわせてみた。——宍戸梅軒ししどばいけんという者が逗留しているか否かを。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎌を、手元に持って、分銅ぐさりに相手の刀を巻きつけた宍戸梅軒ししどばいけんは、その鎖を張りながらいった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞き及ぶ鎖鎌くさりがまの達人宍戸梅軒ししどばいけんなる者が、この世で会い難いほうの人間か、それともざらにある米喰い虫か、まだ初春はるまでには十日あまりの余日があるので、これから京都へ出向く旅のつれづれに
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)