嫋嫋じょうじょう)” の例文
私たちの世代にいたっては、その、いとど嫋嫋じょうじょうたる伝統の糸が、ぷつんと音たてて切れてしまったかのようである。
古典竜頭蛇尾 (新字新仮名) / 太宰治(著)
時鐘の取締りをうけて時刻はずれには決して鳴ることのない聖堂の鐘が、凍体とうたいのような一月二十一日払暁五時の空気に、嫋嫋じょうじょうとした振動を伝えたのである。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ただ妙に嫋嫋じょうじょうとして和やかな、まるで一色ひといろの闇のやうに潤んだものが彼をトップリ包んでゐた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
晋国の巡撫から十人の女の楽人をおくってきた。それは皆美しい女であったが、そのうちでも嫋嫋じょうじょうという女と仙仙という女がわけて美しかった。二人はもっとも曾に寵愛せられた。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)