女色にょしょく)” の例文
「……ふム。……いや義助、とまれ讒者ざんしゃにとれば、わしが女色にょしょくに溺れているなどは、よい口実になるだろう。正成も言いかねぬ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金が出来ると、女色にょしょくあさる、自動車を買う、邸を買う、家を新築する、分りもしない骨董こっとうを買う、それ切りですね。中に、よっぽど心掛のいゝ男が、寄附をする。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あいかわらずこの若入道はなまめかしい。あまり女色にょしょくの外聞は聞かぬが、さぞ女にもてることであろうと、師直は身にひきくらべて羨望せんぼうを禁じえない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うすうす事情を眺めていると、その当時、関屋孫兵衛というひとり息子、博奕ばくちは打つ、女色にょしょくにはふける、手のつけられない放埒ほうらつに、それが病のもとらしかった
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)