奉教人ほうけうにん)” の例文
わたしの作品の名を上げて言へば「羅生門らしやうもん」などはその前者であり、今ここに話さうと思ふ「枯野抄かれのせう」「奉教人ほうけうにんの死」などはその後者である。
少くとも、南蛮寺なんばんじ泥烏須如来でうすによらい礼拝らいはいする奉教人ほうけうにんあひだには、それが疑ふ余地のない事実だつたと云ふ事である。
悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
例へば「奉教人ほうけうにんの死」といふ小説は、昔のキリスト教徒たる女が男になつてゐて、色々の苦しい目に逢ふ。
例外として、「奉教人ほうけうにんの死」と「きりしとほろ上人しやうにん伝」とがその中に這入はいる。両方とも、文禄ぶんろく慶長けいちやうの頃、天草あまくさ長崎ながさきで出た日本耶蘇やそ会出版の諸書の文体にならつて創作したものである。
風変りな作品に就いて (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)