大鋏おおばさみ)” の例文
蟹は時々立ち停って、片っ方のずば抜けて大きな大鋏おおばさみを、しかつめらしく上げ下しをしている。自分の身体の全体よりもずっと重そうな大きな脚だ。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
ふと何かを見つけた蟹は、慌てて芝土に力足を踏みしめ、黒みがかった緑色の甲羅がそっくりかえるばかりに、二つの真赤な大鋏おおばさみを頭の上に振りかざしている。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)