大貫おおぬき)” の例文
すると、前歯ぐらいじゃすまないかもしれない。それでね、YMCA(キリスト教青年会)の大貫おおぬきというひとがロビイで待っている。話があるって
ノア (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
二月二十八日に藤堂とうどう家の儒臣塩田随斎が下総国大貫おおぬきにある主家の采邑さいゆうに赴かんとする途上にわかに病んで没した。享年四十八である。随斎の伝は『日本教育史資料』に載っている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
毎晩のように隣の大貫おおぬき村に日が暮ると赤提燈あかちょうちんが三つ歩いて来る。赤い提燈は世間に幾らもある。けれどもの提燈でも火を点すと後光が射すのが普通だ。然るにその提燈に限って後光が射さない。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鶴見つるみの橋詰めにはすぎ角柱かくばしら大貫おおぬきを通した関門が新たに建てられた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)