大象だいぞう)” の例文
「——やったな」と智深は四つン這いになって上をめあげた。一段一段、大象だいぞうのようにゆっくり登ってくる。恐ろしさに役僧どもも職人もタジタジと後退あとずさりした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「否、この髪の毛は此処の建築の時材木を曳く綱に婦人信徒が寄進したのですよ。女の髪の毛には大象だいぞうつながるとか言って、髪で撚った綱は大変丈夫なものだそうです」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そんな下品なことは言いませんが、ぐっと恨みをこめて見上げるまなざしには、まさに千きんの重みが加わって、大象だいぞうをさえつなぐといわれる女髪にょはつ一筋、伊賀の若様、つに起てない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)