大経師だいきょうじ)” の例文
それに京で名高い大経師だいきょうじのいきさつを、そのまま取入れた趣向じゃもの、この狂言が当らないで何としようぞのう。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
平河町の大経師だいきょうじ張抜拵物はりぬきこしらえものの名人、美濃清みのせいが二年がかりでこしらえたもの。
それから、現在のことにわたりますが、ついこの間まで家にいた吉岡宗雲君は、京都高辻たかつじ富小路とみのこうじの仏師の悴で、今は郷里に帰っており、次に奈良多門町の大経師だいきょうじの悴で、鏑木寅三郎君は紫雲と号す。
芸題は『大経師だいきょうじ昔暦むかしごよみ』と云って、京の人々の、記憶にはまだ新しい室町むろまち通の大経師の女房おさんが、手代てだい茂右衛門もえもんと不義をして、粟田口あわたぐちに刑死するまでの、のろわれた命懸けの恋の狂言であった。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)