大樋おおどい)” の例文
彼を安らかに眠らすまいとするように、雨は大きい屋根の瓦を夜通し流れて、軒の大樋おおどいに溢れるような音を立てていた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見ろ。向うにある真っ黒なのは焔硝樽えんしょうだるだ。あの中に投り込めば、俺もお前も、この物置も、木端微塵こっぱみじんに吹き飛ばされた上、百樽の毒薬は、神田上水の大樋おおどいの中に流れ込むぞ——
しかいわがくれの裏に、どうどうと落ちたぎる水の音のすさまじく響くのは、大樋おおどいを伏せて二重に城の用水を引いた、敵に対する要害で、地下を城の内濠うちぼりそそぐと聞く、戦国の余残なごりださうである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかもいわがくれの裏に、どうどうと落ちたぎる水の音のすさまじく響くのは、大樋おおどいを伏せて二重に城の用水を引いた、敵に対する要害で、地下を城の内濠うちぼりそそぐと聞く、戦国の余残なごりだそうである。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)