大巾おおはば)” の例文
ところが、横丁々々から一斉に吹き出した火は長いなりに大巾おおはばになって一面火の海となり、諏訪町、駒形一円を黒烟に包んであばれ狂って来た。
ひぢりめんのくくり猿をつけた大巾おおはばちりめんの大旗や、出車だしもでた。縮緬ちりめんゆかたのお揃いもある、しぼりの揃いもある。
根元のところから始った亀裂きれつが、布を裂くような音を立てながら、眼にもとまらぬ早さで電光いなずま形に上のほうへ走りあがってゆき、大巾おおはばな岩側が自重じじゅうで岩膚から剥離はくりしはじめた。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)