夜々よなよな)” の例文
少女は名を宋金花そうきんくわと云つて、貧しい家計を助ける為に、夜々よなよなその部屋に客を迎へる、当年十五歳の私窩子しくわしであつた。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「彼等は夜々よなよなリユツク・サツクを携えて彼方此方の野畑を駆け廻ぐつて、手当り次第にカツ払ツ……」
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
間もなく、○○町の名刹めいさつ千福寺の墓地に毎晩人魂が現れるという記事が新聞に出た。おびただしい数だ。冥土めいどの連中も昨今の酷暑に堪え兼ねて、夜々よなよな涼みに浮び上るのだろうとあった。
ある温泉の由来 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
夜々よなよなの外出には、注意に注意を加えて、少しも物音を立てず、又人目に触れない様にしていましたので、当然、危険はありませんでしたが、それにしても、数ヶ月という、長い月日を
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ああ黒い吾が夜々よなよなの夢よ。
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)