多勢子たせこ)” の例文
半蔵が年上の友人、中津川本陣の景蔵は、伊那にある平田同門北原稲雄の親戚しんせきで、また同門松尾多勢子たせことも縁つづきの間柄である。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
駒場こまばの医者山田文郁ぶんいく浪合なみあい増田ますだ平八郎に浪合佐源太さげんたなぞの顔も見える。景蔵には親戚しんせきにあたる松尾誠(多勢子たせこの長男)もわざわざ伴野とものからやって来た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
岩倉家の周旋老媼しゅうせんばばとまで言われて多くの志士学者などの間に重きをなしている松尾多勢子たせこのような活動的な婦人が帰郷後の月日をむなしく送っているはずもない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その日の泊まりと定められた駒場こまばへは、平田派の同志のものが集まった。暮田正香と松尾誠まつおまこと(松尾多勢子たせこの長男)とは伴野とものから。増田平八郎ますだへいはちろう浪合佐源太なみあいさげんたとは浪合から。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
公卿くげと志士の間の連絡を取ったり、宮廷に近づいたり、鉄胤門下としてあらゆる方法で国学者の運動を助けている松尾多勢子たせこのような婦人とも正香は懇意にして、その人が帯の間にはさんでいる短刀
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)