外郎ういろう)” の例文
何のつもりか、外郎ういろうを二丁買い込んで、それを胴巻の中へ、しまおうとする途端に、店頭みせさきの一方から不意に
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
来るのはよいがかえすのはいやだとしきりにお母さんがおっしゃり私もその心持です。いろいろ、お味噌だの、かきもちだの草餅だの外郎ういろうだの小さいすりこぎだの頂いてかえるの。
中の薬とても小田原の外郎ういろう、天下どこにもある品を、何んでおぬしは抜き取った
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
女づれの遊山ゆさん旅に、桔梗一本折ればといって、駕籠をかついだおじさんに渡りをつけねえじゃならなかったに、名物の外郎ういろうは、たまにゃ覚えた人があろか、清見寺の欄干から、韮山にらやまにじを見たって
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
果して、お角の想像にたがわず、がんりきの百は、たしかに小田原の町へ乗込んでいて、お角がまだ床を離れない時分に、早くも八棟やむね外郎ういろうに、すましたかおで姿を見せたのがそれです。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)