夕餐ゆふさん)” の例文
その夜、夕餐ゆふさんのとき赤彦君は『めしを見るのもいやになつた』といつたさうである。十八日に摂津国を立つた中村君は、十九日に柹蔭山房に著いた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
僕等は赤彦君のまへにいつはりを言ひ、心に暗愁のわだかまりを持つて柹蔭しいん山房を辞した。旅舎やどに著いて、夕餐ゆふさんを食し、そして一先づ銘々帰家きかすることにめた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
日の暮に Spatenbräuシユパーテンブロイ 食堂の隅の方に行つてひとり寂しく夕餐ゆふさんをした。
日本大地震 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
媼の他所行よそゆきの衣裳はすその長い旧式な黒衣であつた。その衣裳をて媼は私等と芝居見に行き、夕餐ゆふさんをしに行つた。ある日媼はその衣裳を著、貸間を見に私を連れて行つて呉れたことがある。
日本媼 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)