壇下だんか)” の例文
唯哲人ヘーゲルなるものありて、講壇の上に、無上普遍の真を伝ふると聞いて、向上求道ぐどうの念に切なるがため、壇下だんかに、わが不穏ふおん底の疑義を解釈せんと欲したる清浄心の発現にほかならず。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かねて何ぞの場合にはと、ひそかに買い求めて閻王像えんおうぞう壇下だんかに隠しておいた朱房しゅぶさのついた短槍たんそうと短剣。その短剣だけをふところに呑むと、彼は用事をよそおって、ぷいと街へ出ていった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光覚は壇下だんかに尊崇をあつめている教壇師だったが
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
炊事場の爺や婆やから小使、書記、諸役人らは仕方なしに、みなぞろぞろ来て壇下だんかの床に首を揃えて平伏した。李逵は突如、本ものの県知事閣下になったような気がして来たらしい。睨み渡して
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)