地底じぞこ)” の例文
すると、下の影は、そのまま地底じぞこへでも消え入りたそうな姿をした。そのうえさらに、その頭巾額ずきんびたいを、地にすりつけて。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ、こりゃね、神通川の音と、立山の地獄谷の音が一所になって聞えるんだって言うんだ。地底じぞこがそこらまで続いているんだって、何でもないよ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この海の上は、今にもわれわれの命を奪おうとするほどれ、わめいている。そして、われわれの家は宙天から地底じぞこへまで揺れころぶ。そこには火もなく、ともしびさえもない。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
博士せんせい、穴の中に落っこっただけでは駄目じゃありませんか。なぜって、穴の中で○○獣が暴れれば、穴がますます大きくなり、やがて東京市の地底じぞこ大穴おおあなが出来るだけのことじゃないんですか」
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)