山口駿河は号を泉処せんしょという。当時外国奉行の首席である。函館奉行の組頭くみがしらから監察(目付)に進んだ友人の喜多村瑞見きたむらずいけんとも親しい。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
十一屋の隠居はこの話を日ごろ出入りする幕府奥詰おくづめの医者で喜多村瑞見きたむらずいけんという人から聞いたと半蔵らに言い添えて見せた。さらに言葉を継いで
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
旅の空で寛斎が待ち受けた珍客は、喜多村瑞見きたむらずいけんと言って、幕府奥詰の医師仲間でも製薬局の管理をしていた人である。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それは幕府が外国政府よりあがない入れた軍艦や汽船の修繕に苦しみ、小栗上野とその知友喜多村瑞見きたむらずいけんとの協力の下に、元治元年あたりからその計画があって
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蝦夷えぞの方にいた時分でした。函館奉行はこだてぶぎょう組頭くみがしらに、喜多村瑞見きたむらずいけんという人がありまして、あの人につきました。その時分、わたしは函館領事館に勤めていましたから。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
手前が喜多村瑞見きたむらずいけんというかたのお供をして、一度神奈川の牡丹屋ぼたんやにおたずねしたことがございました。青山さんは御存じないかもしれませんが、この喜多村先生がまた変わり物と来てる。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)