喋々てふてふ)” の例文
妹が一かどの鑑賞家のつもりで、兄の繪について批評めいた口を利いたり、流行の藝術的用語など使つて生意氣な議論を喋々てふてふするのを、齒のきしむほど平生ふだん厭がつてゐたのだつた。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
願くば一生後生こうせいを云はず、紛々ふんぷんたる文壇の張三李四ちやうさんりしと、トルストイを談じ、西鶴さいかくを論じ、或は又甲主義乙傾向の是非曲直を喋々てふてふして、遊戯三昧ざんまいきやうに安んぜんかな。(五月二十六日)
大いに聞見の寡陋くわろうを恥ぢたりと云ふ。※の如きはいまだじよすべし。かの写真版のセザンヌを見て色彩のヴアリユルを喋々てふてふするが如き、論者の軽薄唾棄するに堪へたりと云ふべし。戒めずんばあるべからず。
予はこれ以上予の健全を喋々てふてふすべき余裕なし。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)