商法あきない)” の例文
この無言と正札一点張りの仲見世の商売振りに、今一層輪をかけた商法あきないの名人である。第一正札も無ければ、「毎度有り難う」も云わぬ。
「中津川の万屋よろずやから届けて来たんですよ。安兵衛やすべえさんが京都の方へ商法あきないの用で行った時に、これを預かって来たそうですよ。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
唐物とうぶつ(洋品)の商法あきないをするもの。この三つの者は勤王攘夷の敵と認めて誅戮ちゅうりくを加える。ただし、私欲でもって人民の財産を強奪することは許さない。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
年若な下女なぞに色目をくれるようなことは機敏でも商法あきない一つしたことの無い須永さんは、東京の問屋から着く荷物と送り状との引合せにすら面喰ってしまい
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それを一歩ひとあしでも立ち入って、何か込み入った商法あきないのことに成ると、新どんや吉どんのような多年大勝の御店おたなの方で腕を鍛えて来たパリパリの若手は言うまでもなく
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
商法あきないを覚える気はなくても、書生として何かの役に立ちたいと思った。その心から復た彼は店の入口の方へ行って、周どんの側に腰掛けた。こうした雑貨店では客の種類もいろいろだ。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
商法あきないの方の用事があるからッて、※が途中まで送って来ました」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)