唐檜たうひ)” の例文
そこは小さな円い緑の草原で、まっ黒なかやの木や唐檜たうひに囲まれ、その木の脚もとには野ばらが一杯に茂って、丁度草原にへりを取ったやうになってゐます。
よく利く薬とえらい薬 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
唐檜たうひやとゞ松がまつ黒に立つてちらちら窓を過ぎて行きます。じつと外を見てゐる若者のくちびるは笑ふやうに又泣くやうにかすかにうごきました。それは何か月に話し掛けてゐるかとも思はれたのです。
氷河鼠の毛皮 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)