味噌漉みそこ)” の例文
「内弟子のお秋は味噌漉みそこしを下げて豆腐か何か買いに出かけた留守。——曲者くせものは表の格子を開けて入って、後ろから——、そのまま裏へ抜けた様子で」
よく楢茸ならたけの初物だの何だのっては、味噌漉みそこしに入れて持って来てくれた。時には親切に困ることもあった。ある時畑のくろの草を苅ってやると云ってかまげて来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
秋田県北部などではその袋をスマスブクロといい、また味噌漉みそこしという一種の竹籠も、そのために作られたと思われるから、スマシとはいっても十分に澄明なものではなかったはずである。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
役員は狼狽ろうばいして身を正し、奪うがごとくその味噌漉みそこし帽子を脱げり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「内弟子のお秋は味噌漉みそこしを下げて豆腐たうふか何んか買ひに出かけた留守。——曲者は表の格子を開けて入つて、後ろから——、そのまゝ裏へ拔けた樣子で」