含羞はにかん)” の例文
「そやかて、含羞はにかんでいて取んなはらん。……何や、貴方あんたがた、おかしなえ。」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小児心こどもごころには知れないほどだったから、ついぞ遊びに行った事もなければ、時々、門口じゃ、そのねえさんというのの母親に口を利かれる事があっても、こっちは含羞はにかんげ出したように覚えている。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
背丈恰好かっこう、それも十一二の男の児が、文金高髷の仮髪かつらして、含羞はにかんだか、それとも芝居の筋の襯染したじめのためか、胸をくわえる俯向うつむき加減、前髪の冷たさが、身に染む風情に、すべすべと白い肩をすくめて
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)