吉保よしやす)” の例文
ところが例の又四郎が、一途いちずに目的をとげよう為、邸内に入って、かえって相手方の陥穽かんせいに落ち、いたく吉保よしやす紋太夫もんだゆうを仰天させたことは当然です。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将軍綱吉は、柳沢吉保よしやすの邸の、宴遊に臨むはずであったが、城を出るまぎわになって、急に中止された。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
綱吉の“柳沢やなぎさわり”といって、町でも評判な柳沢吉保よしやすのやしきへ出かけた回数も、五十数回という頻繁ひんぱんさだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうしてこんな笛師が、この甲府などにいたろうかと不審に思ったが、あとで聞くと、領主の柳沢吉保よしやすが江戸から連れて来たもので、春日流の宗家に縁のある人だと聞いて、そうかと、うなずいた。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま、閣老随一のきけ者といわれ、同じ老中の酒井、阿部、大久保、土屋などをも、意のまま操縦しているという柳沢吉保よしやすなども、側用人の小身から、破格に成り上がった不良の大なるものだという。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)