合巻ごうかん)” の例文
旧字:合卷
なぜなら、おしょさんのうちには、くさ双紙ぞうし合巻ごうかんものが、本箱に幾つあったかしれない。それがみんな、ちょいと何処どこにもあるようなのではなかった。
「さかつかえるどころじゃない。今年は読本よみほんを大分引き受けたので、とても合巻ごうかんの方へは手が出せそうもない。」
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
年ごとに売出す合巻ごうかんの絵草紙の数もかさなって天保てんぽうの今日に至るまで早くも十幾年という月日をけみした。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
くさ双紙ぞうしの、合巻ごうかんかきでは、江戸で第一の人だったけれど、貧乏も貧乏で、しまいは肺病で死んだ。やっぱり七歳ななつぐらいから絵をおしえてくれた。その時分三十五、六だったろう。