古駅こえき)” の例文
……外套の袖を振切って、いかのぼりが切れたように、穂坂は、すとんと深更しんこうの停車場に下りた。急行列車が、その黒姫山のふもと古駅こえきについて、まさに発車しようとした時である。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むかし唐の欧陽詢おうやうじゆんが馬に乗つて、ある古駅こえきを通りかゝると、崩れかゝつたみちぱたに、苔のへばりついたふるい石碑が立つてゐるのが目についた。碑の文字は瞥見ちよつとみにも棄て難い味はひがあつた。