反対むこう)” の例文
旧字:反對
直ぐに取ろうとする、柄杓は、水の中をするすると、反対むこうまえに、山の方へ柄がひとりで廻った。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「帰れ! 招喚よびにやるまでは来るな、帰れ!」と老人は言放って寝返ねがえりして反対むこうを向いて了った。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その時往来の反対むこうの方から、一つの人影が近付いて来た。月光が肩にこぼれていた。浪士風の大男であった。大髻おおたぶさに黒紋付き、袴無しの着流しであった。しずしずこっちへ近寄って来た。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
位置は変って、川の反対むこうの方に見えて来た、なるほどわたしを渡らねばなりますまい。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)