初子はつこ)” の例文
初子はつこさんは何でも、新しい『女の一生』を書く心算つもりなんだそうだ。まあ Une Vie à la Tolstoï と云う所なんだろう。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
辰子たつこは細い声で、ささやくようにこう云った。が、初子はつこは同情と云うよりも、むしろ好奇心に満ちた眼を輝かせて、じっと令嬢の横顔を見つめていた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
行って見ると、玄関の格子こうしの中には、真中まんなかから髪を割って、柄の長い紫のパラソルを持った初子はつこが、いつもよりは一層溌剌はつらつと外光にそむいてたたずんでいた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)