冷笑ひやかし)” の例文
ラ・フォンテーヌの物語にあるからす(コルボー)ときつね(ルナール)との名前である。いかにも法曹界ほうそうかい冷笑ひやかしの種となるに適していた。
自分は真面目なつもりだったけれども、岡田にはそれが冷笑ひやかしのように聞えたと見えて、彼はただ笑うだけで何の答えもしなかった。けれども別にいなみもしなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが若い者の仲間に知れわたると、まるで彼が生きているということからが、既に自分等に対して僭越であるような、冷笑ひやかし罵詈ののしりが、彼の名に向って浴せかけられたのである。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それとも先刻さっきのジャンボーで不意に気が変った成行なりゆきとして、自分の事をしばらく忘れてくれたのか、または冷笑ひやかしの種が尽きたか、あるいは毒突どくづくのに飽きたんだか、——何しろ自分が席を改めてから
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)