冷笑あざわらい)” の例文
眼引き袖引き後指うしろゆびさす人々の冷笑あざわらい他所よそに、家々の門口に立って、小唄を唄うよりほかに生きて行く道がなくなっている有様であった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
不平と猜忌さいきと高慢とがそのまなこに怪しい光を与えて、我慢と失意とが、その口辺に漂う冷笑あざわらいの底に戦っていた。自分はかれが投げだしたように笑うのを見るたびに泣きたく思った。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
交際上手でエンゲージに詫付かこつけ華族の若様のゴールの指輪一日に五六位いつつむつくらい取る程の者望むような世界なれば、なんじ珠運しゅうん能々よくよく用心して人にあざむかれぬようすべしと師匠教訓されしを、何の悪口なと冷笑あざわらいしが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)