冤枉えんおう)” の例文
これをもってこれを見れば、古来貞操に関するうたがいを受けて弁疏べんそするあたわず、冤枉えんおうに死せし婦人の中にはかかる類例なしというべからず。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
もしそれ、中国にいたっては、冤枉えんおう(無実の罪)の死刑は、ほとんどその五千年の歴史の特色の第一ともいってよいのである。
死刑の前 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
作者が漫然と医者の術語を用いて、これに Casuisticaカズイスチカ と題するのは、花房の冤枉えんおうとする所かも知れない。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
冤枉えんおう八年と大呼して監獄の名が刑務所と改まっても依然として未決監に蟠踞ばんきょして、怒号し続けている支倉は、看守達に取っては好い客ではなかった。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
若し夫れ支那に至っては、冤枉えんおうの死刑は、殆ど其五千年の歴史の特色の一とも言って可いのである。
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
「東京未決監未決六年、冤枉えんおう者支倉喜平」
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)