其角堂きかくどう)” の例文
 花火から茅葺かやぶき屋根に火がうつって火事になったのは、三囲稲荷のほとりの、其角堂きかくどうであった。そしてそれは全然別のときのことであった。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
その頃の横浜俳壇にも、当然、ホトトギス派や根岸派などの俳流もあったであろうが、多くは旧派といわれる其角堂きかくどう系の点者俳句が流行のようであった。
諸持、鶴寿、花雪、交山は死して既に久しく、書家董斎とうさいの如きは、香以と同じ年の四月に死んでいる。狩野晏川かのうあんせん、河竹新七、其角堂きかくどう永機、竺仙、紫玉、善孝等はこのむれうちにいた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
近年其角堂きかくどうの社中に遊び楊柳庵と号して俳諧はいかいたのしみとしている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)