六十むそ)” の例文
昔上田秋成は年頃いたづきけるふみ深き井の底に沈めてかへり見ず、われはそれだに得せず。ことし六十むそあまり二つの老を重ねて白髮しらがかき垂り齒脱けおち見るかげなし。
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
工人、近江之丞桃六おうみのじょうとうろく六十むそじばかりの柔和なる老人。頭巾ずきん裁着たッつけ、火打袋を腰に、扇を使うてあらわる。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)