八島士奴美やしまじぬみ)” の例文
彼はその生れた男の子に、八島士奴美やしまじぬみと云ふ名を与へた。八島士奴美は彼よりも、女親の櫛名田姫に似た、気立ての美しい男であつた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その櫛名田比賣くしなだひめ隱處くみどに起して、生みませる神の名は、八島士奴美やしまじぬみの神。また大山津見の神のむすめ名は神大市かむおほち比賣にひて生みませる子、大年おほとしの神、次に宇迦うか御魂みたま二柱。
右のくだり八島士奴美やしまじぬみの神より下、遠津山岬たらしの神より前、十七世とをまりななよの神といふ。
八島士奴美やしまじぬみがおとなしい若者になつた時、櫛名田姫はふと病にかかつて、一月ばかりの後に命をおとした。何人か妻があつたとは云へ、彼が彼自身のやうに愛してゐたのは、やはり彼女一人だけであつた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)