先入主せんにゅうしゅ)” の例文
それ等の人物は将来において、苦痛と悲哀の高き代償を払って、彼等の霊的進歩を妨ぐる先入主せんにゅうしゅと、偏見とから脱却せねばならない。
「あなたの頭から、その観念が抜けきれぬ。猿々と、あごで追い使っていた頃の先入主せんにゅうしゅさまたげて、今のあの男の正しいすがたが見えなさらぬのじゃ」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先入主せんにゅうしゅの関係があるのかも知れないが、私には高坐で聴いた柳桜の話の方が面白いように思われてならなかった。新三と家主との鰹の対話の呼吸いきなどは、柳桜の方が確かに巧かった。
寄席と芝居と (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
次にそれは愚かなる人間界の先入主せんにゅうしゅから、全然脱却したものであらねばならぬ。利害得失の打算から、真理の指示に背くような魂では、とてもわれ等の用途にはならぬ。
と、このことある前から秀吉を軽んじたり嫉視しっししていた人々の先入主せんにゅうしゅである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)