とび人足、沖仲仕など勇みはだの者が多いといったのは事実であるとみえて、そのうち三人の背から腕には、倶利伽羅紋々くりからもんもんの勇ましい彫りものが見えました。
そして、ムリに引きずりだしてみると、これはただ、弦之丞とおぼしい衣類を、頭の上からかぶせられた倶利伽羅紋々くりからもんもんの死骸——すなわち仲間ちゅうげんの宅助だった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身辺の者や悪行仲間あくぎょうなかまに、そんな微量びりょうな人情でもあることを気取られるのは、ひどく恥辱だと信じ、倶利伽羅紋々くりからもんもん文身いれずみに急所が一ヵ所彫り落ちているような考えで
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)