伊那丸勢いなまるぜい)” の例文
もあらせず、とうとうたる金鼓きんこや攻め貝もろとも、法師野ほうしのさとへひた押しに寄せてきた伊那丸勢いなまるぜい怒濤どとうのごとく、大庄屋おおしょうや狛家こまけのまわりをグルッととりかこんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しんがりに残った影武者のひとりと佐分利さぶり五郎次とが、つづいて釣瓶縄つるべなわにすがって片足かけたとき、早くもなだれ入った伊那丸勢いなまるぜいのまっさきに立って、疾風しっぷうのごとく飛んできたひとりの敵。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)