仕様事しようこと)” の例文
……ウーイプー……お勢がいきたいというもんだから仕様事しようことなしのお交際つきやいいって見たがネ、思ッたよりはサ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
でも、好きなラッパが離されず、仮令たとい離そうと思ったところで、ほかにたつきの道とてはなく、一つは好きの道、一つは仕様事しようことなしの、楽隊暮しを続けているのだった。
木馬は廻る (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
戸口がしまって、夫人の跫音あしおとが廊下の向うへ消えてしまうと、彼も仕様事しようことなしに自分の寝室へ行ったが、やがて寝床に入ってから、読書でもしようと思って、一冊の本を引きだした。
犬舎 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
彼は仕様事しようことなしに、又沖に眼をやると、恰度今、早打はやうちがはじまったところで
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)