丹女たんじょ)” の例文
庭さきから、ふと、陽あたりのよい小書院の縁をふりかえって、丹女たんじょはあわてて、そこにいる老母のそばへ、起しに行った。
この秋の暮、ふっと、の消えるように、九十余の老母は死んだ。良人の帰らぬ旅立ちも、老母の死にも、いまは動じることのない丹女たんじょであった。