世良田せらだ)” の例文
「敵は多勢じゃ、世良田せらだどの」「味方は無勢じゃ、秩父ちちぶどの」「さても……」「思わぬ……」敵はまぢかく近寄ッた。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
橋本の敬さんが、実弟の世良田せらだぼうを連れて来た。五歳いつつの年四谷よつやに養子に往って、十年前渡米し、今はロスアンゼルスに砂糖さとう大根だいこん八十町、セロリー四十町作って居るそうだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
都で二年余の禁門大番をつとめおえ、まずは執権高時の御病気伺いなどもすまし、それから郷里上野こうずけ世良田せらだへ帰ろうという急がぬ解番げばんのからだなので、つい引きとめられていたらしい。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何しろ直ぐ近所に東京と云う大渦おおうずが巻いて居るので、村を出ると直ぐ東京に吸われてしもうて、移住出稼などに向く者は先ず無いと云うてよい。世良田せらだ君なんどは稀有けうの例である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)