上布じやうふ)” の例文
一夏、そのころ在阪の秋江氏から、なるみの浴衣の江戸もよいが、上布じやうふを着た上方の女の夏姿をよりよしと思ふといふ葉書が來たことがある。ふといま、そのことを思ひだした。
夏の女 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「やあ、此方こつちへ」と席を勧めたのが代助にはやうやうであつた。誠吾は席にくや否や、扇子を出して、上布じやうふえりひらく様に、かぜを送つた。此暑さに脂肪しぼうけて苦しいと見えて、荒い息遣いきづかひをした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)