三鞭酒シャンペン)” の例文
オング君は、一昔前と変らぬリボンをネクタイに結んだ懐しい姿で、赤ラベルの安三鞭酒シャンペンを煽りながら、私に呼びかけたのである。
十年後の映画界 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
ええそれは本当のことらしいのでございます。何しろ大変な仕送りだと見えて、一本卅円もする三鞭酒シャンペンたらいうものを
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
町では、彼は一流のホテルの食堂で、この発見したての恋人のために、洒落た晩餐と高価な三鞭酒シャンペンを命じた。
消えた花婿 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
そのまくらもとには三鞭酒シャンペンのびんが本式に氷の中につけてあって、飲みさしのコップや、華奢きゃしゃな紙入れや、かのオリーヴ色の包み物を、しごきの赤が火のくちなわのように取り巻いて
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一礼して去った給仕は、やがて、しゃれた脚立氷容器に三鞭酒シャンペンの壜を冷し込んで運んで来た。私は、それを見ると、感じの鋭い小説家ででもありそうに自信をもって、二人の仲間に云った。
三鞭酒 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そんな事を思うと葉子は悒鬱ゆううつが生み出す反抗的な気分になって、湯をわかさせて入浴し、寝床をしかせ、最上等の三鞭酒シャンペンを取りよせて、したたかそれを飲むと前後も知らず眠ってしまった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そして、三鞭酒シャンペンを矢鱈に抜かせた。
三鞭酒シャンペンを指さした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)