三藐院さんみゃくいん)” の例文
床の間には三藐院さんみゃくいんの掛物がかけてありました。三藐院の掛物は感心こそすれ、あえて異様とするには足りないのですが、その下の置物がたしかに異様でありました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それから古来もともとやかましくいわれておりますが能書はやはり弘法大師であり、道風であり、逸勢はやなりであり、あるいは嵯峨天皇のごとき、あるいはずっとくだりまして三藐院さんみゃくいん、近衛公。
三藐院さんみゃくいん近衛信尹のぶただ、烏丸大納言光広、本阿弥光悦ほんあみこうえつ、松花堂昭乗しょうじょう等であった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
問題の髑髏が三藐院さんみゃくいんの掛物の前で、ビクビクと震動すると見る間に、すっくと床の間いっぱいに立ち上りましたが、それは骸骨の上に衣冠束帯を着けて現われました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「今、わたくしの手すさびといいましたが、その構図に配してある和歌文字うたもじは、近衛三藐院さんみゃくいん様のお作で、またお書きになったのもあのお方です。ですから、ありようは二人の合作と申さなければなりません」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
では髑髏どくろは——と見ると、髑髏は宵のままで更に異状はなく、三藐院さんみゃくいんはと見れば、これも更に微動だもせず、文字を再び読み解いてみると、「置くは露」といったような筆画ひっかくは一つもなくて
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
光悦が、日ごろ親しい近衛三藐院さんみゃくいんをそのおやかたに訪ねた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)